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コロナ渦中で製造業が生き残る鍵とは?〜アメリカの製造業界を見てみよう〜

世界の製造業の市場規模は2019年に4兆9,235億ドルであり、2022年までに5兆8,898億ドルに達すると予想されています。コロナウイルスによるパンデミックは、製造業界に社会の変化やソーシャルディスタンスへの適応という大きな課題を与え、デジタルトランスフォメーションを必要不可欠なものにさせました。また、世界経済や貿易に混乱を招き、サプライチェーンにも大きな問題を発生させました。

 しかし、同時に、コロナウイルスは製造業にとって新たな目覚めになるとも言われています。それは、このパンデミックによりインダストリー4.0(製造業における自動化・データ化)テクノロジーが、スムーズでスピードのある製造システムとサプライチェーンを必要とする世界市場に必須であることを人々に喚起させたからです。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、3D印刷、ビッグデータなどの技術の進化は、製造業のデジタルトランスフォメーション(DX)を実現することに繋がります。

 また、在宅ワークなどの推進により、リモート通信と資産管理の必要性が注目されています。そのためには、将来の5Gソリューションとクラウドベースのサービスで構成される最先端の製造技術が必要です。このような変化に素早く対応している会社は利益を得ることができ、「ニューノーマル」に順応していきます。この社会の流れは、高度な製造技術とデジタルトランスフォメーション(DX)の実現を加速させる可能性が大いにあります。

 今回は、アメリカの製造業がコロナ渦中どのような対策をとっているのかについての記事です。アメリカでは新型コロナウイルスの感染者数1500万超、死者数28万人超(12月10日時点)と日本よりも甚大な被害を被っています。しかし、インダストリー4.0が日本よりも発展していると思われるであろうアメリカの製造業の政策について知ることによって、日本の製造業も将来に向けて学べることがあるでしょう。

 パンデミック最中であった2020年の夏、Citrin Coopermanはアメリカの200以上の製造会社または流通会社を調査しました。アメリカの製造業会社は、パンデミックの影響を受け、会社の存続のために大幅な調整を行い、調査対象の会社のうち、約5割弱の会社はこのパンデミック中に中程度から大幅な利益成長を報告しました。

 以下は、アメリカの製造会社がパンデミックの危機を回避し、市場の変化に対応し成功に導いた3つの政策を紹介します。

①:7割の製造会社がオンライン販売で1割〜5割増の利益

 中国などの国々がコロナウイルス後に経済活動を再開したことで、アメリカの製造会社にさらに価格圧力をかけました。アメリカは個人用保護具の生産に注力をしていますが、これは大幅な利益率を維持することが難しいと言われています。一方、このパンデミック期間中に利益を得た会社のほとんどはeコマースプラットフォームが鍵であったことがわかりました。200以上の製造会社または流通会社のうち、7割がeコマースプラットフォーム(Amazonなど)に結びつけて焦点を合わせることで成功を収めました。この成功の裏には、エンタープライズリソースプランニング(ERP)(=ビジネス管理ソフトウェアのこと)やサイバーセキュリティツールへの投資がありました。銀行は先行きが不透明な時代に信用政策をさらに厳しくしているので、これらに投資するには、会社が現金流量を予測し、銀行ときちんと協力して資本へのアクセスを明確にすることが必要です。eコマースプラットフォームには大きな利益が見込めるため、これらのテクノロジーオプションを効率的に運用するための投資を検討する必要があります。

②:在庫管理技術の改善

 このパンデミックの影響で懸念されていることの一つとして、短期的、長期的な消費者行動の変化があげられます。そのため、製造業・流通業の会社として、在庫管理が重要なトピックになってきます。在庫管理は、どのような組織においても最も重要なことの一つです。過剰在庫の場合、手元のキャッシュが制限され、健全で安定的な需要と供給のバランスを保つことができなくなります。在庫管理がうまく機能すれば、時間とコストを節約し、過剰生産や在庫切れといったようなリスクを排除することができます。在庫管理を自動化する在庫管理技術により、速度や効率を上げ、アクセス性を向上させることで合理的な事業運営に繋がります。アメリカでは、多くの会社がビジネスモデルを見直し新しいベンチャーに力を入れるようになっていました。そのため、古い在庫の販売を管理するためのシステムをどのように維持し、また新しい在庫をどのように管理していくかという在庫管理技術を高め、需要にきちんと合う在庫を持った会社が、生き残りに繋がったといいます。

③:製造業の国内回帰

 新型コロナウイルスによるパニック・国境閉鎖などによって、製品の入手不可やビジネスの混乱により、製造会社・流通会社は既存のサプライチェーンの見直しの検討を余儀なくされました。アメリカの経済コンサルティング会社のSage Policy Group、Incの会長兼CEOで経済学者でもあるAnirban Basuは、彼らの調査の結果、多くの米国メーカーがサプライチェーンを再検討し、施設や工場をアメリカに戻していることが分かったと述べています。アメリカは2020年、国内回帰は雇用創出における外国への直接投資(FDI)を上回りました。この、国内回帰は今後のアメリカの製造業の成長と経済回復に貢献すると考えられています。そして彼らは、この製造業のアメリカ回帰の動きを、新しい技術への投資の機会と結び付けています。というのは、この国内回帰によりアメリカでは国内で製造業の生産が増加すると考えられていますが、肉体労働者を集めるのではなく、技術の改善とメンテナンスに集中していくとも推測されるからです。この動きは、インダストリー4.0をさらに進化させることになります。

 以上、パンデミックの中でも、利益を向上させることができたアメリカの製造会社によるeコマースプラットフォームへの投資、高い在庫管理技術、そして施設や工場の国内回帰といった政策を紹介しました。このアメリカの製造会社の調査結果は、どこの国の製造業の会社でも通用できる分野です。時代に適応し、生き残るためには、技術投資や現金流量、組織変革などの柔軟なプランニングが重要となってきます。これからは「ニューノーマル」の時代、今までと同じ事業運営では通用しなくなっています。どの会社も、会社そして日本の製造業界の繁栄のためには、アメリカの成功した製造会社がした、これらのような素早い対応が求められるでしょう。

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Written by 國定菜生

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