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小さな製造業のブランディングのはなし(1/2)

~評価されない知る人ぞ知る会社のはなし~

「知る人ぞ知る」誰も知らない会社

”うちの技術力はどこよりも高く、他に持って行っても誰もつくることができないんだよ”と自慢している会社っていっぱいあります。特に、BtoB型の製造業あたりに多く、お客さんは一部の業界だけなのでPRなんかしませんから、自ずと「知る人ぞ知る」会社になっていきます。

確かに、何時間かインタビューし、工場を見学し、使っているお客さんの声を聴くと、ひとつひとつの技術は非常に高く、優秀な会社であることは、徐々に理解できるようになります。

なのに、その業界を一歩離れると誰も知りません。

従業員が数名の会社なら、そのままでもいいでしょう。

ただし、従業員が100名を超えるような企業である場合、特に、それが上場企業である場合、このままでは問題が起きます。

「知らない会社の株は買わない」

一つは、株価の問題です。

上場企業の株式売買の8割近くには機関投資家が関わっています。

機関投資家は大きなポジション(資金)をもって株式の売買をするので、流動性の低い、すなわち取引の少ない企業の株の売買は物理的に非常に難しくなります。

ここでいう、小さな製造業は、当然、流動性が低いので、機関投資家には相手にされません

おのずと、そういう企業は、機関投資家ではなく個人投資家にターゲットを絞る必要があります。

にもかかわらず、知ってもらう努力をしませんから誰も知りません。だから誰も買いません。

個人投資家の知らない会社が投資対象になることがあるわけありません。

 

そうなると、出来高も増えず、値のつかない日が続いたりもします。

株式市場の評価は低いまま放置されますが、上場企業としての義務は果たさなければならないので、監査費用や上場費用は毎年結構な額を払うことになります。

このように、なんのために上場しているのかわからなくなっている会社はいっぱいあります

この会社が本当に良い会社なら、絶好のM&A対象になります

良い会社が安く買えるなら買う側にしてみればラッキーです。中国あたりの企業が日本の技術型優良企業を買い漁るなんて言うことが起こりえるのです。

「知らない会社で働きたくない」

もう一つは、知られていない会社で働くのってどうですか?

「お父さんは〇〇で働いています」って社員さんのお子さんが説明できますか?

働いている会社がどんな会社で、何をつくっていて、社会的な評価がどうなのかっていうことが全く知られていないと、その説明すらできません。

自然と、お父さんの仕事に興味もなくなりますし、もちろんお父さんの勤める会社に誇りを持てません。

就活生だってそうです。自分ではよい会社だと思って入社試験を受け入社したのに、お父さんやお母さんは、その会社を知らないがために、もっと大手の企業を目指しなさい、公務員になりなさいなんてことを言われている人はたくさんいます。

「知られていないこと」が経営リスクに

つまり、知られていないということは、会社経営にとってデメリットをもたらすことなのです。

私は、IRなんぞを生業にしていた時期がありました。

決算短信をつくり、機関投資家のアナリストなんかほとんど来ないのに決算説明会を半期に一度行い、ガバナンスはどうした、環境対応はどうした、配当が少ないと言われればいちいち対応していました。

で、結果はどうかというと、いわゆる、こういう制度IR(金商法や取引所規則に沿ったIR活動)の延長線上のやり方ではほとんど何の効果も生みませんでした。

なぜか?何度も言いますが、会社が知られていないからです。

知らない会社のIR活動になんて誰も興味がありません。知らないのですから注目のしようがないのです。注目されるのは、よほどの好決算か最悪の決算の時だけです。

「知ってもらうこと」に力を注ぐ

つまり、こういう会社に必要なのは「知ってもらうこと」

知ってもらうことに注力したほうが、思いのほか大きな効果があるのです。

「知る人ぞ知る会社」を続けていると、知ってもらうことに時間やお金を割くことが無駄な気になりますが、それをやるとやらないでは、株価が変わります。採用活動が変わります。社員やそのご家族の会社への誇りが変わります。それは、かけた費用に十分に見合う投資効果をもたらします。

つまり、中小型の上場企業の場合、企業ブランディングはIR活動よりも重要になるということです。

ブランディングというと、BtoC企業のモノだとか、クリエイターなどというBtoB企業の人とはおよそ接点のない、なにかしら胡散臭い人種にぼったくられそうな感じしかしない人も多いと思いますが、今後何回かに分けて、私が実際に関わったブランディングプロジェクトを通じて、その成果報告のような形で説明させていただきます。

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