世界の製造業のトレンド
「Japan is No1」と言われていた時代が終わり、30年以上経ちます。「ものづくり大国 日本」と言われていた時代は終わり、中国に台頭により、ものづくりと言えば誰もが中国を思い浮かべるようになりました。
しかしながら、長年にわたって培われた日本の技術力と日本人のきめ細やかさからくる高い品質は簡単には真似できるものではなく、特に日本の中小企業には世界と比較してもまだまだ高い技術力があります。
そして、近年はこの日本の高い技術力が見直されてきています。コストを抑えて大量生産する時代から、ものがどんどん複雑化、多様化してきており、先端技術と高い品質が求められるようになってきているからです。
図1は少し前のデータがだが、国ごとの製造業競争力指数です。
20世紀の製造業の伝統的中心国である米国、ドイツ、日本、イギリスが順位を再上昇させています。より付加価値が高い製品、サービスへの移行が続く製造業のトレンドの中、基礎的な技術力、人材に強みを持つこれらの製造業の伝統的中心国は、新たな強みにより低コストの中国などに対抗しています。
今後は、より付加価値の高い先端製造業へ移行し、イノベーションと先端技術を産む力がグローバルで勝つための重要な要素となることを示しています。
日本の製造業の強み
日本の製造業がグローバルの中で元気がないように見えますが、決して強さを失ったわけではないのです。
携帯電話は家電製品を始めとする一般消費者向けの製品は確かに競争力を失ってきました。しかしながら、それらの製品には多くの日本製の電子部品が使われています。iPhoneにも多くの日本製の部品が使われていて、それらがなければ製品が成り立たないのです。
さらには、半導体製造装置は日本製が大きな割合を占め、こういった表に出てこないところに日本の技術の強みが多くあるのです。
日本の製造業の課題
日本の課題はこれらの技術力をいかに売れるものにしていくかということです。図2に示す経済産業省の調べても、米国、中国、ドイツの企業と比較して「製品の品質」「技術開発力」「現場の課題発見力・問題解決力」には強みがあり、優位性がありますが、「商品企画力・マーケティング力」に弱みがあると分析しています。
マーケットのニーズを掴み、商品を企画、製造することがなかなかできない製造業が多いということです。さらには、新規開発した製品をブランディングし、より高付加価値の製品としてより高い値段でマーケットに出すことも、マーケティングにより販売を増やすことも得意としている製造業は少ないのです。
日本の製造業者の多くは下請け企業として、発注元の製品企画をより良いものにするために、より品質の高いものにするために努力し、技術に磨きをかけてきたこともあり、言われたものを高い技術力で造るのは優れているということですが、新しい商品を産み出すのは得意としていないということだと思います。
この状況からの脱却はなかなか一筋縄ではいかないですが、いまこのインターネットの時代にマーケティングも多様化し、ブランディングもオンラインで行う時代です。日本の製造業はインターネットの活用がまだまだで、オンラインでのブランディング、マーケティングの流れにはまだ乗れていません。
しかしながら、逆にいうとこれがチャンスなのです。これからインターネットを活用したブランディング、マーケティングを行うことで成長する余地が多くあるということです。
製造業のブランディング
製造業、特に中小の製造業でブランディングは必要かと思われる方も多いと思いますが、どんなビジネスでも本来ブランディングは必要です。ブランド競争力を高め、買い手に選択してもらえる可能性を高めるのがブランディングですので、競合が存在する限りはブランディングが必要なのです。
そして製品のブランディングだけでなく、企業をブランディングすることが製造業にはより大切で、企業をブランディングすることでその企業が存在する限りはその企業が作り出すあらゆる製品に対してそのブランドイメージができるのです。
TOYOTAの車はどんな車であれ壊れににくく、乗り心地が良いというブランドがあるのがわかりやすいと思います。日本の中小製造業は製品があるわけでないところも多いです。製品がないからと言ってブランディングが必要ないわけではなく、例えば加工技術でも、その技術力を外に発信しつつ技術力のある企業としてブランディングしていくことが重要です。
日本から海外へ
いま、グローバルの中で日本の最先端技術力が見直されてきているのです。
この流れを逃がさないように、中小製造業も含めた製造業のもつ先端技術力をブランディングしながら、世界に発信していくことで、日本の製造業の競争力を保ち、そして世界中でその先端技術を活かすことで多くのイノベーションを産む、グローバルの視点での産業エコシステムを構築していくことが今後の日本の製造業及び製造業に携わる企業が目指すところだと思います。
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