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『日本企業の経営課題2021』  調査結果速報 【第1弾】 当面する経営課題として「人材強化」「売り上げ拡大」の重視度が高まる

研究・開発や生産領域では「デジタル技術の活用」、購買・調達領域は「CSR調達」が大きく上昇

一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、「当面する企業経営課題に関する調査」を実施しています。今年は202178月に実施し、517社からの回答を得ました。

今回は第1弾として、経営全般ならびに経営機能別の課題の動向について、ご報告します。なお、最後にKAIKA研究所所長近田による「調査結果を受けてのコメント」(本調査のまとめ)を掲載しています。

【トピック】

1.当面する経営全般の課題として、「人材強化」「売り上げ・シェア拡大」が昨年より上昇

  5年後の課題では「事業を通じた社会課題の解決」の比率が約2倍となり第2位に

2.組織・人事領域の課題:「人事制度の見直し」「次世代経営層の発掘・育成」が上昇

  昨年急増した「多様な働き方の導入(テレワークなど)」は大幅に低下してベスト10圏外へ

3.営業・マーケティング領域の課題:第1位は「高付加価値型商品・サービスの開発」

  「ITを活用した効率的・効果的な営業活動」が昨年より上昇し、第3位に

4.研究・開発領域の課題:「デジタル技術の活用」が上昇して第2位に

  「研究・開発部門の人材獲得・育成」の比率も昨年より7ポイント増加

5.生産領域の課題:昨年に続いて「品質管理体制の強化」が第1位に

  「デジタル技術の活用」「生産管理システムの改善・見直し」の比率も高まる

6.購買・調達領域の課題:「CSR調達の推進・コンプライアンスの遵守」が大きく上昇

 

  • 2021年度(第42回)当面する企業経営課題に関する調査」概要

調査時期 2021720日~820

調査対象 JMAの法人会員ならびに評議員会社、およびサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5,000社)

査方法 :郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)

回答数・回収率:回答数517社・回答率10.3

1.当面する経営全般の課題として、「人材の強化」「売り上げ・シェア拡大」が昨年より上昇5年後の課題では「事業を通じた社会課題の解決」の比率が約2倍となり第2位に 

 本調査では、経営全般における課題として想定される20項目を列挙し、「現在」「3年後」「5年後」において重要と思われるものを尋ねました(「現在」「3年後」は3つまで、「5年後」は1つだけ選択)。

 現在」の課題の第1位は、昨年同様に「収益性向上」でしたが、その比率は減少(45.1→40.8%)。 一方、「人材の強化」が昨年の31.8%から37.7%、「売り上げ・シェア拡大」が30.8%から35.2%へと増加しました。コロナ禍が続くなか、当面の経営課題として、売上を回復させ、新たな成長軌道を描くこと。そして、その担い手となる人材を強化することが重視されていることがうかがえます。

 

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  3年後」の課題については、「人材の強化」が昨年同様に第1位(36.9%)となりました。次いで、「新製品・新サービス・新事業の開発」(29.4%)が、昨年の第4位から第2位に上昇しています。第3位は、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(29.0%)でした。そのほか、「デジタル技術の活用・戦略的投資」が昨年の19.2%から24.2%へと増加し、第5位に挙げられています。DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが広がっていますが、デジタル技術の活用による新製品・サービス・事業の開発、事業基盤の再編が、中期的な経営課題として重視度が高まっていることがわかります。

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    「5年後」の課題については、1位は昨年同様に「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」となりましたが、その比率は減少(17.3%→13.3%)。一方、「CSRCSV、事業を通じた社会課題の解決」が7.7%から13.0%へと約2倍となり、第2位になっています。SDGsESG経営への関心が高まるなか、社会課題の解決を通じた中長期的な企業価値の向上が、経営課題として重視されていることがうかがえます。

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2.組織・人事領域の課題:「人事制度の見直し」「次世代経営層の発掘・育成」が上昇

昨年急増した「多様な働き方の導入(テレワークなど)」は大幅に低下してベスト10圏外へ

 本調査では、経営全般の課題とともに、経営機能別の課題についても、調査を行っています。

 組織・人事領域における課題として想定される20項目を列挙し、特に重視しているもの3つを尋ねたところ、第1位は昨年同様に「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」(34.2%)となりました。

 昨年に比べ、「人事・評価・処遇制度の見直し・定着」の比率が29.5%から33.8%へと増加し、第2位に上昇しています。ジョブ型人事制度の導入や、兼業・副業の容認、新卒一括採用の見直しなど、いわゆる日本型雇用システムの見直しに向けた議論が広がっていることが背景にあると考えられます。

 また、「次世代経営層の発掘・育成」についても、昨年の28.4%から33.3%へと増加し、第3となっています。中小企業においては事業承継が課題となっていること、また、上場企業においてはコーポレートガバナンスコードにより経営人材の後継者計画の策定が求められていることが影響していると思われます。

 一方で、昨年急増した「多様な働き方の導入(テレワークなど)」については、26.5%から9.7%へと大幅に減少し、同率で第14位とベスト10から外れました。昨年は、コロナ禍に対応するための在宅勤務・テレワークの導入などが急務でしたが、これらの対応がひと段落している状況がうかがえる結果となりました。

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3.営業・マーケティング領域の課題:第1位は「高付加価値型商品・サービスの開発」

ITを活用した効率的・効果的な営業活動」の比率が昨年より上昇し、第3位に

  営業・マーケティング領域における課題として想定される18項目を列挙し、特に重視しているもの3つを尋ねたところ、1位は「高付加価値型商品・サービスの開発」34.2%)となりました。次いで、「顧客ニーズの先取り対応」(32.9%)が第2位に挙げられています。

 昨年に比べると、ITを活用した効率的・効果的な営業活動」の比率が22.2%から25.1%へと増加し、第3位に上昇しています。コロナ禍によって対面による営業活動が制約される一方で、顧客情報の解析やデジタル・マーケティングの手法が進展し、デジタル技術の活用への関心が高まっていることが背景にあると考えられます。

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4.研究・開発領域の課題:「デジタル技術の活用」が上昇して第2位に

「研究・開発部門の人材獲得・育成」の比率も昨年より7ポイント増加

 研究・開発領域における課題として想定される17項目を列挙し、特に重視しているもの3つを尋ねたところ、第1位は「経営戦略・事業戦略との一貫性ある研究・開発テーマの設定」(35.6%)となりました。

  昨年に比べると、「デジタル技術の活用」が昨年の30.5%から31.9%へと増加し、第2位に上昇しています。また、「研究・開発部門の人材獲得・育成」も、昨年の21.6%から28.6%へと7ポイントの増加。研究・開発領域においても、デジタル技術を活用することによって、新商品や新サービス、新事業の開発に貢献できる人材を獲得・育成することが重視されていると考えられます。

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5.生産領域の課題:昨年に続いて「品質管理体制の強化」が第1位に

「デジタル技術の活用」「生産管理システムの改善・見直し」の比率も高まる

・ 生産領域における課題として想定される15項目を列挙し、特に重視しているもの3つを尋ねたところ、昨年に続いて、「品質管理体制の強化」(35.4%)が第1位に挙げられました。

・  2位は昨年同様、「デジタル技術の活用」となり、その比率は27.6%から30.0%へと増加。そのほか、「生産管理システムの改善・見直し」も、昨年の16.2%から20.3%へと比率が高まっています。生産管理や製造現場においても、さまざまなデジタル技術が活用されるようになっていることが、これらの課題の重視度の上昇につながっていると考えられます。

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6.購買・調達領域の課題:「CSR調達の推進・コンプライアンスの遵守」が大きく上昇

・ 購買・調達領域における課題として想定される10項目を列挙し、特に重視しているもの3つを尋ねたところ、第1位は昨年同様に「調達品の品質確保・品質管理」(35.4%)となりました。

・ 昨年に比べ、「持続可能な(CSR)調達の推進・コンプライアンスの遵守」の比率が28.0%から34.0%へと大きく上昇して、第2位に挙げられている点が特徴的です。企業の社会的責任として、調達先における人権問題や環境問題への対応が不可欠となっていることが背景にあると考えられます。

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  • 調査結果を受けてのコメント  一般社団法人日本能率協会 KAIKA 研究所 所長 近田高志

 

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 今回は、日本能率協会が毎年実施している「経営課題調査」の2021年度の調査結果の第1弾として、毎年、経年調査を行っている経営全般ならびに経営機能別の課題について、ご紹介しています。

・調査結果の全体を俯瞰すると、まさに感染拡大の第2波の最中に実施した昨年度の調査では、コロナ禍への緊急的な対応が課題認識にも大きく影響していましたが、今年は、今後の成長を見据えた課題へとシフトしていることがうかがえる結果となっています。特に、以下の3点が、今回の経営課題調査から浮かび上がったポイントであると考えます。

・1点目は、「デジタル技術の活用」です。いまや、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」はビジネス用語として一般化していますが、企業経営における実装化へと課題認識が進んでいると捉えることができます。

 例えば、3.営業・マーケティング領域の課題として、「ITを活用した効率的・効果的な営業活動」の比率が増加していること、4.研究・開発領域や5.生産領域において、「デジタル技術の活用」が上昇していること、あるいは「生産管理システムの改善・見直し」の比率が高まっていることは、各経営機能領域において、デジタル技術の活用が具体的に進められていることの証左と言えるでしょう。

・ 2点目は、「人材の強化」です。1.当面する経営全般における「現在」の課題として、「人材の強化」の比率が昨年よりも上昇し、また、「3年後」の課題としても、昨年に続いて第1位に挙げられています。さらに、組織・人事領域の課題においても、「人事制度の見直し」の重視度が高まっています。

・  コロナ禍を乗り越え、新たな成長を描くために、また、デジタル技術を活用し、DXによって事業構造の変革を実現していくためにも、その担い手となる人材の強化が不可欠となります。これまでも日本企業においては、人材が重要視されてきましたが、経営戦略と一体として人材戦略を捉え直し、人事システムを再構築していくことが大きな課題となっています。

 そして3点目は、「企業の社会性への対応」です。1.経営全般における「5年後」の課題において、このところ、「CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決」の比率が増加傾向にありましたが、今年は、大きく上昇して第2位となるまで上昇しています。また、6.購買・調達領域の課題では、「持続可能な(CSR)調達の推進・コンプライアンスの遵守」の比率が高まっているという特徴が見られました。

気候変動問題や環境問題に対応するため、温室効果ガスの削減や、プラスチック使用量の抑制等の動きが広がり、一般市民においてもSDGsへの関心が高まっています。また、海外調達先における人権問題について、日本企業の対応の遅れが指摘されています。

 企業の社会的責任という観点からだけではなく、中長期的な企業価値の創出に向けて、事業を通じた社会課題の解決に対応していくことが、経営課題認識においても重視されるようになっています。

  現下のコロナ禍への対応も引き続き重要な課題ではありますが、今回の調査結果から見えてきたように、その先の時代に向けて、経営課題認識に変化が生じているということは、明るい兆しであると言えるでしょう。人的資本経営を強化し、デジタル技術を活用しながら、新しい社会価値を創り出すべく、具体的な経営戦略の構想と実行が期待されます。

 

  •   回答企業の概要

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